毎日しっかりと歯を磨いているのにもかかわらず、舌で歯の表面を触るとザラザラすると感じたことがある方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。この歯の表面がザラザラする原因によっては、すぐに対処した方が良い場合もあるのです。
歯の表面がザラザラする原因
歯垢や歯石
食事の後に適切なケアが不十分なことが原因で、口腔内に食べカスや細菌の塊である歯垢(プラーク)が溜まってしまいます。中でも歯垢は、一般的に食後4時間〜8時間で形成され、歯と歯茎の隙間や歯面に付いてしまうため、舌で触ったときに歯面に付いた歯垢によってザラザラした感じがするのです。歯垢は適切なブラッシングによって除去できますが、ケアが不十分で残ってしまうと唾液中のカルシウムイオンやリン酸イオンなどのミネラルと結合することによって石灰化してしまい、歯石となって歯に強固に付着します。歯石は約2日ほどで形成されてしまい、一度歯石ができてしまうとご自身のブラッシングだけでは除去することができなくなり、さらに歯石の表面はザラザラしているので、歯垢がますます溜まってしまうのです。歯磨きをしてもザラザラした感触がある場合は、歯垢の磨き残しや歯石が付着していることが原因である可能性が高いので、注意が必要です。
初期の虫歯
食べ物には酸性のものが多く、食事を摂ることで口腔内が酸性に傾きます。また、磨き残しがあることで、歯垢の中の細菌が食べカスに含まれる糖をエサとして作りだす酸によって、歯の表面のエナメル質からミネラルが溶かされる「脱灰」を起こしてしまいます。通常は唾液の再石灰化作用によって、溶けだしたエナメル質が修復されるのですが、不衛生な口腔内では脱灰ばかりが進んでしまうため、エナメル質は溶かされ続け虫歯になってしまいます。初期の虫歯は自覚症状がほとんどありませんが、エナメル質の色が白っぽく表面がザラザラした感触になります。
歯面に傷が付いている
ご自身のブラッシングが適切におこなわれていない場合も、歯の表面がザラザラする原因になることがあります。ブラッシングの際に力を入れて磨いたり、研磨剤が入っている歯磨き粉を使用しての磨き過ぎは、歯の表面のエナメル質に目に見えない小さな傷が付いてしまいます。また、歯の表面のザラザラや汚れが気になってしまい、つい力を入れて磨いてしまうと、逆にザラザラする原因となってしまうので気を付けましょう。
歯の表面の亀裂や欠け
歯ぎしりや食いしばりの癖があったり、外傷などによって歯に対して強い負荷がかかってしまった場合、歯面に亀裂ができたり欠けてしまうことによって、歯の表面がザラザラと感じることがあります。
歯の表面がザラザラする場合の対処法
ご自身でのセルフケア
歯垢は毎日の正しいセルフケアで除去することができます。そのため、食後は必ず歯磨きをして口腔内を清潔に保つようにしましょう。特に就寝中は、唾液の分泌量が少なくなり口腔内に細菌が繁殖しやすくなるので、寝る前の歯磨きはより丁寧におこなうことが大切です。歯と歯茎の間や奥歯の溝などは、歯ブラシが届きづらく磨き残しが多いので、意識して磨きましょう。
ブラッシングの際に力を入れ過ぎてしまう場合は、柔らかな毛先の歯ブラシを使用して力が入り過ぎないように一本ずつ丁寧に磨きましょう。歯ブラシの持ち方も、鉛筆を持つように握る「ペングリップ」にすることで、余計な力が入らずに小刻みにブラシを動かすことができます。また、研磨剤が入っている歯磨き粉を使用しないのも良いでしょう。 初期の虫歯によって歯の表面がザラザラしている場合も、正しいセルフケアによって改善することも可能です。細菌が糖を分解する際に作りだす酸によって、エナメル質が溶けだす「脱灰」と、唾液の「再石灰化作用」のバランスが脱灰に傾けば虫歯が進行しますが、再石灰化作用がしっかりと機能すれば初期の虫歯は修復できます。そのためにも、セルフケアで口腔内の歯垢などの細菌を少なくするよう努めましょう。
歯科医院での健診や歯のクリーニング
歯垢を除去しないと歯石となってしまいます。しかし、どうしてもご自身でのセルフケアだけでは口腔内の全ての歯垢を取り除くことはできません。そのため、磨き残した歯垢によって歯石が形成されてしまうと、ご自身での歯磨きでは除去することができなくなってしまいます。初期の虫歯もセルフケアで改善は可能ですが、痛みなどの自覚症状がないことや、見た目もわかりづらいことから放置してしまう場合も多いです。このような状態が続いてしまうと、虫歯や歯周病、その他の口腔内のトラブルの原因になってしまいますので、定期的に歯科医院で健診や歯のクリーニングを受けることが重要なのです。また、歯垢を除去するにはご自身でのセルフケアが大切になりますが、歯のクリーニングの際に歯科医院でブラッシング指導を受けることで、より正しく効果的にブラッシングをおこなえるようになります。
歯のクリーニングによって、歯垢や歯石などをキレイに除去するとともに、健診を受けることで初期の虫歯が見つかれば、再石灰化を促すフッ素湿布やブラッシング指導などの適切な処置をおこなうことによって歯を削らずに済みますので、将来的に歯の寿命を長くすることにも繋がるのです。