歯の役割の中で一番重要な、物を噛むということ
私たちの歯は、体の健康と大きく関係しています。歯の役割の中で一番重要な機能は、物を噛むということです。上下の前歯の噛み合わせによって食べ物を噛み切り、そして奥歯の臼歯で臼のように食べ物をすり潰します。よく噛むことは、楽しい食生活を送ることができるだけではなく消化吸収がよくなることから、胃や腸はもちろんですが、心臓や腎臓などの臓器の健康にも大きく影響します。ですので歯並びが悪いなどで噛み合わせが悪くなってしまうと、食べ物をよく噛むことが出来なくなるため、胃や腸に負担をかけてしまいます。さらに、噛み合わせが悪いと一定の歯に大きく負荷がかかってしまうため、負担が大きくなってしまった歯が欠けたり折れたりしてしまい、さらに負荷がかかった歯の部分の歯茎の炎症も起こってしまい、それが原因で虫歯や歯周病、さらに顎の骨にも影響するため顎関節症になる危険性もあります。虫歯や歯周病、さらに顎関節症などは歯だけではなく体の健康にも悪影響を与えてしまいます。
近年では、歯で堅いものを噛んだり、砕いたりすることが少なくなってしまい、柔らかい食べ物を食べる習慣が増えているということもあり、顎の骨が昔に比べ細くなってしまっているということが問題にもなっています。物をしっかりと噛めることが、私たちの健康に大きく関わっているのです。
歯を失う最も多くの原因は虫歯と歯周病
歯を失う最も多くの原因は、虫歯と歯周病です。歯を失う原因の約8割が虫歯と歯周病であり、特に歯周病は初期段階ではほとんど自覚症状がないことから、気付いた時には悪化してしまっている場合が多いため、無症状症(Silent disease)といわれています。
歯周病にかかっている年齢層は、40代〜50代くらいの方が一番多いのですが、実は、子供から20代までの若年層の歯茎にも、何らかの炎症が見られるということが分かっています。このことから、歯周病は決して中高年層の病気ではないため、若い時からの歯周病予防が大切だといえるのです。そのために、正しい歯磨きの方法や、歯間ブラシやデンタルフロスを使用して、歯ブラシだけでは届かない歯と歯の小さな隙き間や、歯と歯茎の間などを使用してのセルフケアが大切です。 しかし、いくらご自身で歯磨きなどをしても全てキレイに取り除くことが難しいため、歯科医院での定期的なメンテナンスが必要となります。当院でも、PMCTなどをおこなうことで、ご自身では取り除くことができなった歯垢や歯石もキレイに取り除くことが可能です。そんな歯周病は、全身の病気とも深く関わっており、中でも歯周病と糖尿病は大きく関わっています。歯周病が進行してしまうと、原因菌である歯周病菌が歯茎の血管を通じて体の中に入ってしまい、血糖値をコントロールするインスリンの働きが悪くしてしまうため、糖尿病を悪化させてしまいます。
さらに肥満や糖尿病の方は歯周病を引き起こしやすく、重症化しやすということも分かっています。しかし、歯周病の治療して歯茎を健康に保つことは、インスリンの抵抗性も改善にも繋がり、それと同時に血糖コントロールも改善されていきます。このように歯周病と糖尿病は、相互に影響し合っているのです。
歯を失うことで起きる様々な問題
健康な歯が多く残っている方や、歯を失っても義歯を入れることで歯が残っている方は、歯が少ない方や歯を失ったままにしている方に比べると、年齢や生活習慣など影響を除いた場合でも、認知症の発症や転倒する危険性が低いということが分かっています。歯で食べ物を噛み砕く際に、振動が脳に直接伝わり、歯根膜(歯根と歯槽骨の間にあるクッションの役割をしており、歯を支える歯周組織の一部)から神経を経由して振動が直接脳に伝わり、それが刺激と認識されるため、脳の血流量が増加し脳の働きも活性化されます。しかし反対に歯の本数が減ってしまったために、食べ物を噛む回数が減ってしまうと、脳への振動や刺激が減ってしまうため、脳は委縮を始めてしまうので、結果脳が退化してしまうので認知症になりやすくなってしまうのです。
しかし、歯を取り戻すためにインプラント治療や入れ歯治療をおこなうことで、食べ物を噛むことができるようになるため、脳にまた刺激が伝わる状態に戻ります。中でもインプラントの場合は、インプラント体と顎の骨が強く結合しているので、振動や衝撃がしっかりと脳に伝わります。 そのため、認知症防止や老化防止に繋がったり、噛むことは満腹中枢が刺激されるため、ダイエットや肥満の予防にも繋がります。さらに噛むことは唾液の分泌も促進されるので、活性酸素を抑制することができるため美容効果にも繋がります。
このように、私たちの歯は健康の原点ともいうことができるのです。