口内炎とは、口の粘膜や歯茎、舌や唇など、口腔内や口の周辺に起こる炎症の総称のことです。口内炎が起きる原因は、疲れなどで免疫力の低下が原因であったり、食事の際に間違えて頰を噛んでしまうなどの物理的刺激によるものや細菌やウイルスなどの感染が原因であったりと様々です。その口内炎の主な原因と症状をご説明いたします。
口内炎の主な原因と症状
ウイルスや細菌感染による口内炎
ウイルスや細菌に感染することで口内炎を発症することがあります。細菌感染による口内炎は口腔内が不衛生な環境の場合、治りにくく症状が悪化することがあるため注意が必要です。
口唇ヘルペス
単純ヘルペスウイルスというウイルスに感染することで発症します。単純ヘルペスウイルスは1型と2型があり、多くは単純ヘルペスウイルス1型が原因で乳幼児期に初感染することが多く、一度感染してしまうとその後もウイルスが神経の途中で神経細胞が集まっている神経節に潜伏して生涯ウイルスが体内に残るため、大人になっても体調を崩したときなどに口内炎の症状があらわれることがあります。また単純ヘルペスウイルス2型は梅毒、淋病、クラジミアなどの細菌が口腔内に入り込む性感染症で口内炎を引き起こします。 主な症状は、初期の段階は見た目では水疱が分からない程度ですが、唇の周辺に違和感を感じることがあり、数日後には水疱が口唇周辺に現れ、鼻や頬などの皮膚にも水疱が出来ることもあります。
症状が酷くなった場合は激しい痛みや発熱、リンパ節の腫れなどの症状を伴い、入院が必要な場合もあります。また口唇ヘルペスの症状がある場合、唾液や水疱の中にウイルスが含まれていることがあるため、人から人へ感染する危険性があります。そのため直接触れ合ったり、食器や箸、タオルなどは一緒に使用することはできるだけ避けましょう。また、なるべく外出も避けて感染が拡大するのを防ぐようにしましょう。
カンジタ性口内炎
元々私たちの口の中に存在する常在菌の一つであるカンジダ菌(カビの一種)が増えることが原因で発症します。カンジダ菌は常在菌であり、通常は症状を引き起こすことはないのですが、免疫力が下がったり、口腔内が乾燥することにより口内環境が悪化することでカンジダ菌が異常増殖してしまうことで口内炎を引き起こすことがあります。またステロイドや抗生物質などの薬を長期間服用したり抗癌剤治療を受けていたりすることで、免疫力が下がり常在菌のバランスが崩れてカンジダ性口内炎を引き起こすこともあります。 主な症状は、口の中に白い苔のような斑点が付着する場合が多いのですが、痛みはあまりありません。しかし症状が進むと、炎症を起こしたり痛みを伴ったりする場合もあります。中には舌に炎症が起き、熱を持ったりヒリヒリした痛みを伴う場合もあります。
最も多くみられる口内炎
【アフタ性口内炎】
一般的に多くみられる口内炎で、疲労やストレス免疫力の低下や睡眠不足、栄養不足などが原因と考えられていますがはっきりとした原因は分かっていません。 主な症状は、頬の裏や唇の内側、舌や歯茎などの口腔粘膜に2〜3個一緒にできる赤く縁取られた円形や楕円形の小さな潰瘍で、境界線がはっきりしています。 この潰瘍の部分に食べ物が触れたりすると強い痛みや、しみたりすることがありますが、通常10日〜2週間ほどで自然に治癒し跡も残りません。また繰り返しできる場合もあり、その場合は再発性アフタ性口内炎とよびます。しかし、なかなか治らなかったり症状の範囲が広いときには、ベーチェット病と呼ばれる難病や他の重大な全身疾患の一症状である場合があるため、すぐに口腔外科などの専門の病院に行くようにしましょう。
物理的刺激による口内炎
【カタル性口内炎】
入れ歯や矯正器具が触れたり、食事中に間違って頬の内側を噛んでしまったり、熱いお茶を飲んだり薬品などの刺激といった物理的な刺激によって発症する口内炎です。免疫力の低下や過労によって発症することもあります。
主な症状は口腔内の粘膜が赤く腫れたり水疱ができたりします。アフタ性口内炎と違い、炎症の境目が分かりにくいことが特徴です。 痛みは強くはありませんが、刺激物がしみたりします。症状が悪化すると唾液の粘稠度が増えて口臭が発生したり、口の中が熱を持つこともあります。
喫煙による口内炎
【ニコチン性口内炎】
慢性的な喫煙習慣により発症する口内炎ですが、タバコに含まれるニコチンだけが原因がどうかはまだハッキリとは分かっていません。タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させるため全身の血液の供給量を減少させてしまいます。喫煙により口腔内が大量のニコチンにさらされてしまうと、口腔内の血液の供給量が減少するため、口腔粘膜が障害を受けやすくなります。また、喫煙によって口腔内の免疫機能が低下したり、歯垢などの細菌が発生しやすくなったり、タバコの煙によって唾液の分泌量が減るため口腔内が乾燥してしまうことなども、ニコチン性口内炎の発症に関係していると考えられています。
主な症状としてニコチン性口内炎は、痛みを生じることはあまりありませんが、食べ物を食べた際にしみることがあります。また、自覚症状がないことが多いことから、別のきっかけで口の中を調べた際に確認されることが多いです。口腔粘膜が赤く変化する場合もありますが、時間が経つとともに白くなっていきます。タバコの煙の関係上、硬口蓋に相当する部分に発症しやすくなっています。ニコチン性口内炎は、扁平上皮癌などの悪性腫瘍を発生する危険性があるため注意が必要です。
アレルギーによる口内炎
【アレルギー性口内炎】
歯の詰め物、被せものや、入れ歯などの金属や、特定の食べ物や薬物などが刺激となってアレルギー反応を引き起こした際に発症する口内炎です。
主な症状は、アレルギー反応を起こしてしまい口腔内の粘膜の炎症が起こります。