虫歯はどうしてできてしまうのでしょうか。
虫歯は、口腔内環境のバランスが崩れてしまうことが原因でできてしまいます。食事によって、口腔内に存在する虫歯の原因菌(ミュータンス菌)が酸を作りだし、接触している歯の表面のエナメル質から、歯の成分であるカルシウムイオンやリン酸イオンなどのミネラルが溶け出してしまう「脱灰」を起こします。この脱灰は口腔内の衛生状態や、唾液の働きによって酸を中和することで、溶け出したミネラルが歯に再沈着する「再石灰化」により修復するのですが、歯や歯茎に歯垢などが付着している状態で脱灰が続くと、歯の再石灰化が追いついていかなくなり脱灰が進んでしまいます。それによって歯が元に戻らなくなり、歯に穴が空いてしまうことを虫歯というのです。
虫歯は初期の段階でしたら治療も簡単で早く済みます。しかし進行してしまった虫歯は、治療期間も長くなってしまうだけではなく、最悪の場合は歯自体がダメになってしまうため、抜歯が必要となり、歯を失ってしまう場合もあるのです。
虫歯の進行の度合いの症状と治療法
虫歯はゆっくりと進行していきます。脱灰が進むことで、歯の表面のエナメル質が溶けてしまい、その内側の象牙質、歯髄へと虫歯が進行していきます。進行の度合いによって症状や治療方法が変わります。虫歯の度合いは、C0、C1、C2、C3、C4と分類されます。
ごく初期の虫歯(C0)
C0の段階では、歯のエナメル質が脱灰を始めた状態で、痛みはありません。透明感のある健康な歯の表面とは違い、脱灰が起こると表面が白っぽくなります。この場合の治療は、正しい歯磨きなどのセルフケアや、歯科医院でのフッ素塗布などにより、歯の再石灰化がおこなわれることで進行が防げるため、歯を削るといった治療は必要ありません。
歯の表面が溶け始める(C1)
脱灰が進んでしまいまい、歯の限られた狭い範囲に穴が空いてしまい、小さな虫歯ができている状態で、痛みはほとんどありません。この場合、状況によってはC1と同様の治療をおこなうことも可能ですが、虫歯が進行する可能性が高い場合は、少し歯を削ることもあります。治療では、虫歯の部分を削り、コンポジットレジンを詰めます。レジンは歯と同じ色にできるため目立ちませんが、年月と共に多少変色していきます。進行を防ぐためにも、定期的に歯科医院での検診や、歯のクリーニングなどの予防歯科をおこなうことが大切です。
虫歯が象牙質に進行してしまう(C2)
虫歯が象牙質に進行してしまっている状態で、冷たいものがしみたり、痛みを感じるようになります。象牙質はエナメル質より柔らかいため、虫歯の進行が早いので早急な治療が必要です。治療は虫歯部分を削って取り除きます。場合によっては局所麻酔を使用しての治療をおこないます。削った部分の歯に合わせてレジンや、一般的に銀歯と呼ばれる金銀パラジウム合金のインレーという部分的な詰め物をします。インレーの作製には、歯型をとる必要があるため、治療には多少時間がかかります。 C2の虫歯でも削る部分が広範囲であったり、一つの歯に複数の虫歯ができている場合は、クラウン(被せ物)での治療になることがあります。クラウンを使用する治療は、インレーでの治療よりも治療期間が長くなります。保険治療である銀歯は目立ってしまうことから、保険適用外の色が目立たないセラミックのインレーを使用することも可能です。
虫歯が歯の神経まで進行してしまう(C3)
虫歯が歯の神経(歯髄)にまで進行してしまった状態で、歯髄が炎症を起こしていると、歯がしみたり、何もしないのにズキズキと激しい痛みを伴います。虫歯の度合いも危険度が高い状態であり、症状がかなり進んでいる場合がほとんどです。虫歯が進行している場合、「歯の神経を抜く」といわれる歯髄を除去する根管治療が必要になります。根管治療には、ファイルと呼ばれる針の先端がヤスリ状になった専用の器具を用いて治療をおこないます。この段階では部分的なインレーは使用することはほとんどないため、クラウンを使用して治療します。
歯冠部まで侵されてしまう(C4)
虫歯の進行によって歯冠部が崩壊し、歯根部のみが残った状態です。痛みを感じる歯の神経そのものが壊死してしまうため、痛みを感じなくなります。しかしこの状態をそのまま放置すると、歯根先端部に膿みができてしまい、非常に強い痛みを感じるようになります。この段階まで虫歯が進行してしまうと、歯を残す治療も困難になる場合があるため、抜歯が必要になることがあります。 治療は、歯根部が土台として使える場合は、C3とほぼ同じ治療となりますが、抜歯が必要な場合は、歯を補うために歯の箇所によって、ブリッジか入れ歯治療が必要になります。保険適用外治療ではインプラント治療もおこなうことが可能です。
まとめ
歯痛の原因が非歯原性歯痛かどうかを診断をするには、まず、歯科医院で虫歯や歯周病などはないか問診や視診、エックス線検査などで調べます。検査の結果、もしも歯や歯周組織に問題がない場合は、8つの非歯原性歯痛の原因にあてはまる症状がないかを、さらに詳しい問診や触診、また場合によってはCTスキャンやMRIなどの検査をして鑑別します。 その際、非歯原性歯痛の検査は、専門医がいない歯科ではおこなうことができない場合があります。非歯原性歯痛かどうかを検査する際は、歯科口腔外科に問い合わせるか、または日本口腔顔面痛学会のホームページを参照することをお勧めいたします。