歯周病とは
普段から気をつけて毎日の歯磨きをおこなっていても、歯と歯の間や歯周ポケット(歯と歯茎の間の隙間)などは、歯磨きだけでは全てを取り除くことができません。磨き残してしまった食べカスなどは細菌の塊である、歯垢(プラーク)となって歯の表面や歯茎に付着してしまいます。
歯垢はネバネバしており粘着性が強いため、うがいをした程度では落ちません。歯垢は取り除かなければ次第に硬くなっていき、唾液中のミネラルと結合することで歯石という硬い物質になり、歯と歯の間や歯周ポケット(歯と歯茎の間の溝)に付着します。一度付いてしまった歯石は歯磨きなどのブラッシングだけでは取り除くことができないため、少しづつ増えてしまいます。
増えてしまった歯垢や歯石によって、歯茎が細菌感染を起こしてしまい、歯茎が炎症を起こしてしまいます。これを歯肉炎と言います。さらに歯槽骨を含めた歯周組織にまで炎症が広がってしまうことを歯周炎といい、これらの総称を歯周病というのです。重度の歯周病になってしまうと支えている歯を溶かしてしまうため、歯が自然に抜けてしまったり、または歯科医院で抜歯することになってしまいます。 今や生活習慣病の一つでもある歯周病は、心臓や循環器疾患、さらには糖尿病といった他の生活習慣病などに深く関わっていることが明らかになってきました。歯周病を予防し、歯周病の場合は早期治療と再発の防止をすることが、体の健康維持にも大きく繋がっているのです。
歯周病の治療と予防
正しい歯磨きなどのセルフケア
歯周病対策としてまず一番大切なことは、毎日の正しい歯磨きです。歯の形や歯並びなどは、人それぞれ違います。ですので、ご自身にあった歯ブラシや、磨き方、さらにデンタルフロスや歯間ブラシなどの道具を使用して磨き残しがないようにすることが大切です。
生活習慣の改善
よく噛まないまま食べたり、間食をしたりなどの不規則な食習慣は歯周病を進行させる原因となってしまいます。また、喫煙はタバコの中に含まれる一酸化炭素は血管への酸素供給を妨げます。さらにニコチンは一種の神経毒で、歯茎に酸素や栄養を供給するのに大切な血管を収縮させてしまいます。禁煙することで、この危険性が下がっていくことも、研究の結果分かっており、歯周病にかかる危険性は4割も減ります。手術後も禁煙することで、危険性は非喫煙者とほとんど差が無くなります。可能でしたら、今後の歯周病の再発や、予防のためにも禁煙することをお勧め致します。
咬合性外傷
歯ぎしりやくいしばり、かみしめの癖がある方は、偏った歯に過度な力が加わることによって歯が欠けてしまったり、割れたりする場合があるため、歯周病のリスクが高くなります。これらは、歯科医師による噛み合わせの調整や、専用のマウスピースなどによって改善することが可能です。
不適合な被せ物や義歯
長期間使用することで磨耗してしまったり、噛み合わせによって合わなくなってしまった被せ物や義歯は歯磨きがしにくくなるため、磨き残しが増えてしまい、隣の歯まで歯垢や歯石が付きやすくなるため、歯周病になりやすい環境を作ってしまいます。そのため、歯科医院での被せ物や義歯の再治療が必要となります。
歯周病が引き起こす様々な病気
認知症
歯周病は動脈硬化、脳卒中に関することから脳血管性認知症に大きく関係しています。残っている歯の数が少ない人ほど、その後に認知症発症や転倒する危険性が高いということも分かっているため、歯周病によって歯を失ってしまうことは認知症に繋がるのです。さらに、噛むことによって脳は活性化するため、アルツハイマー型認知症と深く関わってくるといわれています。
認知症
歯周病は動脈硬化、脳卒中に関することから脳血管性認知症に大きく関係しています。残っている歯の数が少ない人ほど、その後に認知症発症や転倒する危険性が高いということも分かっているため、歯周病によって歯を失ってしまうことは認知症に繋がるのです。さらに、噛むことによって脳は活性化するため、アルツハイマー型認知症と深く関わってくるといわれています。
狭心症・心筋梗塞
歯周病になってしまうと、歯茎が炎症を起こしてしまうため、歯茎が出血しやすくなります。歯周病菌は口内だけに留まらずに歯茎の毛細血管が傷ついてしまったところから、血管を通じて血液によって歯周病菌が全身に運ばれてしまいます。それによって動脈硬化や心筋梗塞などの心臓病を引き起こしてしまう原因にもなるのです。
糖尿病
糖尿病と歯周病は密接に関わっています。歯周病になると、血糖値を下げる働きをするインスリンに体が抵抗するようになります。そのためインスリンが効きにくくなってしまうため血糖値が上昇してしまい、結果、糖尿病の発症や糖尿病が進行しやすくなるのです。歯周病を治療することで、糖尿病の改善に繋がることも分かってきています。
骨粗しょう症
更年期女性は特に注意が必要です。骨粗しょう症の患者さんに置いて女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が少なくなることにより、骨密度が減ってしまうと共に、歯を支える歯槽骨ももろくなってしまいます。そのため歯周ポケット内で歯周炎の進行が進んでしまいます。閉経後の女性ホルモン(エストロゲン)の低下が主な原因なのです
歯周病とメンテナンス
歯周病の初期段階である歯肉炎は正しい歯磨きや、歯科医院での専門的な器具でのクリーニングなどによって、歯垢や歯石をしっかり除去し、その後の生活習慣の改善や日頃のお手入れと歯科医院での定期的なメンテナスをおこなうことで、健康な歯茎を取り戻すことができます。しかし、歯周炎まで症状が進行してしまうと、歯と歯茎の間の歯周ポケットの溝が深くなってしまうため、ご自身のセルフケアだけでは改善することができないため、歯科医師による治療が必要となります。
当医院での歯周病の早期発見、定期メンテナンスによる予防をすることで、健康で快適な生活をしましょう。