インプラント治療を受けたいけれど、痛みが不安で治療に踏み切れない方も多くいらしゃるかと思います。何故ならば、インプラント治療には手術による外科的治療が必要だからです。通常インプラント治療では、歯を埋入する箇所の歯茎を切開し、顎の骨に穴を開けてチタン製のインプラント体を埋入してから、インプラント体が顎の骨としっかりと結合するまでの治癒期間を経て、インプラント体に上部構造(アバットメントと人工歯)を取り付けるのですが、手術による痛みは、実際は麻酔によってほとんど痛みを感じることはありません。しかし個人差もありますが、手術以外に痛みを感じる方もいらっしゃいます。この痛みも適切に対処することでおさまりますのでご安心ください。
それではどんな時に痛みを感じるのでしょうか。ご説明いたします。
インプラント治療における痛み
インプラント手術後の痛み
インプラントの手術をおこなった後は麻酔が切れてしまうため、痛みを感じる場合があります。痛みには個人差がありますので、軽い痛みからズキズキする強い痛みを感じる方もいますが、通常は抜歯をした際に感じるチクっとした軽い痛みや、口腔内の違和感を感じる程度ですむことが多いです。その際、インプラント手術の後には医院から必ず痛み止めと炎症止めなどの薬を処方してもらえますので、ほとんどの場合は、服用することで痛みも抑えることができます。痛みも早くて1~2日、遅くても4~5日くらいで、徐々に収まっていきます。もしも痛みに不安を感じている方は、術後早めに痛み止めを服用しておくことをお勧めいたします。麻酔が切れたタイミングで薬が効くようにしておくことで不安も少しは和らぐかと思います。 手術後に処方された薬は、インプラント体が骨と結合しないなどといったトラブルが起こらないようにするためにも、痛みがなくても最後まで飲み切るようにしましょう。処方された薬は、医師の指示に従って正しく服用しましょう。もしも処方された薬を飲んでも痛みが治まらないという場合は、我慢せずに医院に連絡をしてください。医院での痛みに合わせた適切な処置をおこなうことで痛みも和らいでいきます。
治療するインプラントの本数が多い場合
インプラント治療をおこなう歯の本数が多い場合や、治療の範囲が広い場合などは、歯茎を切開する部分が多いことから手術後は、通常より強い痛みが出てしまう場合があります。
骨造成など別の手術が必要な場合
インプラント治療をおこなう場合、インプラント体を埋入するだけの十分な顎の骨の厚みや量などが必要となります。骨の厚みがない場合や骨量が不足している場合には、手術の前に「サイナスリフト」や「ソケットリフト」「GBR法」などの骨造成という骨の厚みを増やすための手術治療をおこないます。 骨造成は、ご自身の体の他の部分から骨や歯茎を採取したり、人工の骨を移植する場合もあります。その場合、ご自身の体の他の部分から骨や歯茎を採取する際や、採取した骨を移植するときに痛みが起きることがあります。人工の骨を使う場合も同様に、移植の際に広い範囲の歯茎を切開するため、手術後に痛みを伴うことがあります。 痛みは数日で収まることが多いのですが、手術後4~5日間くらいは痛みや腫れを感じる場合がありますが、処方してもらった痛み止めで抑えられる程度の痛みがほとんどです。もしも強い痛みが感じる場合は、再度麻酔をしてもらうことも相談してみましょう。
静脈内鎮静法
インプラント手術は、通常は全身麻酔ではなく局所麻酔でおこないます。そのため、手術中は痛みを感じることはありませんが、全身麻酔ではないので意識がはっきりとしているため、手術中の物音や会話などが聞こえてしまうことで、緊張や不安から大きなストレスを感じる場合があります。中には呼吸や血圧、脈拍等に影響を与えてしまうこともあります。その場合には、静脈内鎮静法という方法を麻酔と併用します。静脈内鎮静法とは、手術や歯科治療により起こる痛みや不安を取り除くためにおこなう方法です。静脈内鎮静法は、点滴をしながら静脈より安定剤を投与するので、うとうとしたような眠っている状態のままリラックスして歯科治療を受けられるため、痛みや緊張によるパニックや血圧や脈拍の急激な上昇などを予防することができます。
静脈内鎮静法により、緊張や不安を感じないまま手術を終える事が出来るため、快適でより安全に手術を受けていただくことが可能です。副作用や後遺症などもありませんし、静脈内鎮静法をおこなっている間は、専門の麻酔医がモニタリング下にて、心電図や血圧、心拍数、血中酸素飽和濃度などの確認をおこないながら、全身の状態の管理をしているため安全です。