歯を全て失ってしまった場合や、ほとんどの歯を失った際に、歯の機能や見た目を回復させるための治療が必要になります。治療方法には「インプラント」「ブリッジ」「入れ歯」などの治療がありますが、失った歯の本数が多い場合は保険が適用可能な入れ歯による治療をおこなっている方が多いです。しかし入れ歯の中でも総入れ歯は、天然歯と比べて噛む力が2割程度しかないので、食べ物の制限も出てしまい食事を楽しむことができなくなる場合も考えられます。また、歯茎と粘膜で入れ歯を安定させていることから、食事や会話の途中で外れてしまうこともしばしばです。さらに、使用していくうちに顎の骨が吸収してしまい、入れ歯が合わなくなることもあります。これらを改善する方法として、入れ歯とインプラントを併用する治療法があり、これを「オーバーデンチャー」といいます。
オーバーデンチャーとは
オーバーデンチャーは、2本〜4本のインプラント体を顎の骨に埋入して、入れ歯を固定する治療法です。インプラントと入れ歯との連結部分に、ボール型やバー型のアバットメントを固定源として利用することにより、少ない本数で入れ歯の浮き上がりを抑えることができます。インプラント体が顎の骨と結合し、入れ歯もしっかりと固定されるため、食事や会話の途中外れたりする心配がありません。また、入れ歯自体を小さめに作製することができるので、嘔吐反射のある方には効果的な治療法です。さらに、インプラント体が人工歯根の役割をするので、噛む力が向上するだけでなく顎の骨が吸収するのを抑制する働きがあります。
オーバーデンチャーの種類
ボールタイプ
入れ歯とインプラント体の連結部分であるアバットメントの先端が、丸いボール状になっているタイプです。入れ歯の裏側に特殊な金具を付けて、ホックを留めるように入れ歯とインプラントを連結させることで固定します。入れ歯をスムーズに装着でき、装着後の安定性も高いです。
ロケータータイプ
ロケーターアバットメント」と呼ばれるボタンのような形の器具をインプラント体に取り付けて、入れ歯側に取り付けた留め具にセットすることで入れ歯とインプラント体を固定するタイプです。しっかりと安定するため、食事や会話の途中で外れる心配がありません。
バータイプ
埋入したインプラント体をチタン製のバーで連結し、入れ歯側にバーを挟み込むクリップを装着することで入れ歯を固定するタイプです。
マグネットタイプ
インプラント体と入れ歯をマグネットで固定するタイプです。「マグネットインターフェース」が先端にあるアバットメントをインプラント体と連結し、先端にマグネットを取り付けて、入れ歯側にも「磁性アタッチメント」と呼ばれる小型磁石を埋入することで、磁力により入れ歯を固定します。
オーバーデンチャーのメリット
オーバーデンチャーは入れ歯のデメリットである咬合力や、口腔内の違和感、外れやすさを、インプラント体を埋入して連結することで改善することが可能です。従来のインプラント程ではありませんが、食事の際によく噛むことができますし、装置も小さいので違和感も少なく、途中で外れることもありません。また、インプラント体を顎の骨に埋入することで噛む刺激が直接骨に伝わるため、顎の骨の吸収を抑制することができます。
オーバーデンチャーのデメリット
入れ歯の場合、手術も必要なく保険適用で治療ができますが、オーバーデンチャーの場合は保険適用外治療でインプラント体を埋入するための外科手術が必要となるため、身体的・経済的負担が大きくなってしまいます。また、噛む力が大きくなるから、場合によっては入れ歯の擦り減りなどが起きてしまうことがあります。さらにインプラントは治療後も定期的なメンテナンスが必要になることから、ご自身やご家族の協力のもと、4ヶ月~6ヶ月に一度メンテナンスのために通院ができることが治療可能の条件になってしまいます。
オーバーデンチャーのお手入れ
オーバーデンチャーはご自身で取り外しが可能なので、お手入れの際に取り外しておこなうことができます。歯磨きの際は、埋入したインプラントの周囲や入れ歯に付着した食べカスや歯垢(プラーク)などの汚れをキレイに磨いて取り除くことにより、清潔な状態を保つことができます。しかしながら、ご自身でのセルフケアだけでは口腔内の汚れを全て除去することができないため、歯科医院で定期的なメンテナンスをおこなうことが大切になります。定期的なメンテナンスを受けることにより、口腔内を清潔な状態に保ち、入れ歯やインプラントの状態も確認・調整することができるので、必ず受けるようにしましょう。
当院ではオーバーデンチャーを取り扱っております。
治療をお考えの方は一度ご相談頂くことをお勧めいたします。