インプラントは10年累積残存率がおよそ9割といわれています。 しかし、これはあくまでも平均ですので、ご自身での日頃のお手入れや、定期的な歯科医院でのメンテナンスを怠ってしまうと、インプラントの寿命が短くなってしまう危険性があります。ですが、適切なメンテナンスを続けることにより、平均以上の期間を問題なく、かつ快適に使い続けることが可能です。
インプラントの寿命を短くする主な要因
歯周病
インプラント自体は虫歯になることはありませんが、インプラント周辺に歯石や歯垢がついてしまうと、そこから歯周病に似たインプラント周囲炎という細菌感染を起こしてしまいます。インプラント周囲炎は初期の自覚症状がないため、気づかずに放置してしまうことが多く、気付いた頃には症状がかなり進行している場合が多いです。症状は歯肉が腫れるだけではなく、顎の骨が溶けだしてしまい、最悪の場合インプラントが脱落してしまいます。インプラントは天然の歯よりも細菌感染に弱く、天然歯のような防御機能もありません。
そのため天然の歯よりも徹底した歯周病予防が必要になります。
噛み合わせ
インプラントはとても硬く丈夫な素材で出来ていますが、噛み合わせのバランスが悪いと、一定の歯に大きな負担をかけてしまいます。その際、噛む力に負けてインプラント本体や人工歯が破損してしまうこともあります。さらに虫歯や歯周病のリスクを高めてしまい、結果的に歯の寿命を縮めてしまいます。 また歯ぎしりや食いしばりの癖のある方は、インプラントに強いかみ合わせの力が直接かかってしまうため、人工歯を破損させたり摩耗させてしまいます。
噛みあわせのバランスの悪さや、歯ぎしりや食いしばりは、歯や顎に負担がかかるだけでなく、頭部や首、肩や背中などの筋肉にも悪影響を及ぼします。 歯ぎしりや食いしばりの癖がある場合は、専用のマウスピースを使用することで、歯への衝撃を軽減させることができますが、可能であればインプラント治療の前にしっかり治療をして改善しておくことが大切です。
喫煙
喫煙はインプラントの寿命を縮める大きな要因の一つです。タバコの中に含まれるニコチンや一酸化炭素による免疫力の低下によって、インプラントの歯周病「インプラント周囲炎」になる可能性が高まります。さらに、ニコチンにより歯茎の毛細血管が収縮してしまい、血液中の酸素と栄養の運搬が妨げられるため治癒が遅れてしまいます。 またインプラントの骨が結合する力(骨結合)を弱めてしまいます。骨結合がしっかりと行われないと、インプラントが安定せず、最悪の場合インプラントが脱落してしまう危険性があります。
インプラントを長持ちさせるには
ご自身での日頃のお手入れ
インプラント周囲炎を防ぐためには、日頃の歯磨きが大変重要です。毎日きちんと正しい歯磨きを行い、インプラントの周囲を清潔に保つなどの、プラークコントロールを心がける必要があります。
一般的な歯科医院でのメンテナンス
インプラントのゆるみやぐらつきの確認や、歯肉や粘膜の状態などの口腔内の状態を確認します。また、正しい噛み合せの調整を行い、インプラントに負担がかかっていないかをチェックします。 レントゲン撮影をすることにより、インプラントが骨としっかり結合しているかどうかを確認します。 日頃の正しい歯磨きをしていても歯周ポケットたまった歯垢を取り除くことは容易ではないため、通常の歯磨きでは除去が難しいところの歯垢や歯石を取り除きます。 磨き残しをなくすための正しい歯の磨き方のほかデンタルフロスやプラウトブラシ(先端の細いブラシ)などの使い方の指導を受けます。
インプラントの保証
インプラント治療後のアフターケアをしっかりできるかどうかが、インプラントの寿命を大きく左右します。しかし、メンテナンスを十分に行っていた場合でも、何らかのトラブルによってインプラントが破損する可能性はあります
その際、当院では治療後、最大で10年間の保証制度があります。また当院はノーベルバイオケア社製のインプラント使用しており、ノーベルバイオケア社には10年間の保証プログラムがついています。埋入時から10年間の間に、埋入された骨から脱落、破折が発生した場合、そのインプラントに加えて、脱落、破折時にインプラントに使用されていた修復用コンポーネントを同一のノーベルバイオケア社製のインプラントおよび修復用コンポーネントに無償で交換することが可能となっております