歯の治療法にはインプラントとよく似た治療法で、差し歯というのがあります。実際、インプラントと差し歯は違いを混同されやすい治療で、何が違うのか、疑問に感じている方もいらっしゃるかと思います。 そんなインプラントと差し歯の違いについてご説明致します。
インプラント治療
インプラントと差し歯は、どちらも歯を差し込む歯科治療の治療ですが、大きく異なることは、ご自身の歯根(歯の根)が残っているかどうか、ということです。
インプラント治療は、歯を根元から失ってしまった場合でも治療ができますが、差し歯治療は、歯根が残っていないと治療することができません。 インプラント治療は、歯が折れたり、抜けたりしてしまったりと、歯を失ってしまった部分の顎の骨にインプラント体(人工歯根)埋め込み、その上に人工歯(被せ物)をはめ込む治療法です。完全に歯を失ってしまった方でも治療することができます。※顎の骨が少ないなどの症状によっては骨造成(顎の骨を人工骨で増やす治療)が必要となる場合もあります。
また歯を削ることなく治療できるので、他の歯に負担がかからず、見た目も天然の歯に近い仕上がりになります。しかし、歯茎を切開してインプラントを埋め込むため、外科手術が必要となります。またインプラント治療は、保険適用外の治療となるため、費用が高額になってしまうため、患者さんの体への負担や、費用の負担が大きくなってしまいます。さらに、手術によって埋め込んだインプラント体(人工歯根)が、顎の骨と結合するまでの治癒期間が3~6ヵ月ほどかかり、治療が終わるまでに、約1年近くかかることもあり、治療に長い期間を要します
差し歯治療
差し歯治療はまず、歯根に人工的に作られた土台を入れます。土台は一般的には金属を使用します。もしも金属アレルギーのある方は、土台をファイバーコア(ファイバー繊維の土台)にすることもできます。それから歯型を取り、7~10日くらいで出来上がった硬化レジン(セラミックが混ざった硬質プラスチック)やセラミックなどで作られた、人工歯を被せて固定します。人工歯の素材もいくつか種類があり、保険が適用できるものと適用できないものがあります。
保険が適用されるのは、銀歯や硬化レジンです。硬化レジンはプラスチックが混じっているので、噛み合わせの衝撃を吸収しやすく割れにくいという特性を持っています。
しかし硬化レジンはプラスチックの一種なので、長く使用していると色が黄ばんだり、歯磨きによって削られてしまいます。 保険適用外で使用されるのは、セラミック素材です。セラミックは耐久性に優れており、歯ブラシで削れることもほとんどありませんが、噛み合わせが悪いために強い力が加わってしまうと、割れる可能性があります。
また、差し歯治療は手術の必要がないため体への負担も少なく、基本的に一般歯科治療の範囲内で行うことができるため、費用の負担も比較的少なくてすみます。また治療期間も短く、治療が終わるまでの期間は、神経の状態や治療する歯の本数によっても変わりますが、約1~2ヵ月くらいとインプラント治療に比べ短い期間で終えることができます。
インプラント治療?差し歯治療?
インプラントと差し歯の違いをご理解した上で、どちらの治療法を選んだほうがいいのかと、お悩みの方もいると思います。 どちらにも、それぞれメリットとデメリットがあります。インプラントと差し歯は、どちらも失ってしまった歯を補う治療方法です。大きな違いは、ご自身の歯根が残っているかどうかです。インプラント治療の場合は歯や歯根が残っている場合でも、抜歯をすれば治療することができますが、差し歯治療は歯根自体を失ってしまうと治療ができなくなります。
ご自身のご希望や口の中の状態によっても治療法の選択は変わってくることと思います。ご納得、ご安心していただいた上で治療をするためにも、当院の歯科医と十分に相談して治療を選択していただくことをお勧め致します。