ドライマウス(口腔乾燥症)とは、様々な原因から唾液の分泌量が低下してしまい、口腔内が乾燥することによって引き起こされる症状のことをいいます。男性よりも女性に多く見られ、今までは50~70歳代の中高年の女性に多く見られるといわれていましたが、近年ではストレスや不規則な生活習慣によって、30~40歳代の女性の方に多く見られるようになってきています。
ドライマウスの症状
ドライマウスは唾液の分泌量が低下してしまうため、口や喉の渇き、口腔内がネバネバしてしまうといった自覚症状があります。また、唾液の分泌量が少なくなることで、口臭が強くなったり、虫歯や歯周病などになるリスクが高くなります。さらに舌の痛みや、会話がしづらくなったり、味覚が分からなくなってしまうといった症状が起こることもあるため、日常生活に支障が出てしまう場合もあります。
ドライマウスの原因
加齢に伴う唾液の分泌量の低下
加齢によって、口の周りの筋肉が衰えてくることから、咀嚼力が低下してしまうため、唾液の分泌量が少なくなり、ドライマウスを引き起こすことがあります。また、全身の筋肉も衰えてしまうため、姿勢が悪くなってしまいます。猫背で顎が前に出てしまうような姿勢になることで、自然に鼻呼吸ではなく口呼吸になってしまい、常に口を開けた状態になるので、ドライマウスになりやすくなります。
ストレスや過度な緊張
人は、リラックスしているときは唾液が出やすく、逆にストレスを感じているときや精神的に緊張したときは交感神経が強く働くため、唾液の分泌が抑制され、唾液が出にくくなります。ストレスや緊張が解消されたり弱くなることで、唾液の分泌量も正常に戻りますが、ストレスや緊張を感じることが多い状態が続いてしまうと、口の渇きが慢性化してしまうため、ドライマウスになってしまう場合があります。
女性ホルモンの低下
女性の場合、更年期になるにつれて女性ホルモンのバランスが急激に変化してしまいます。唾液の分泌は女性ホルモンのコントロールを受けるため、それに伴って唾液の分泌量も減ってしまうので、ドライマウスになりやすくなります。
食生活などの生活習慣
食べ物をよく噛むことで、顎や舌の筋肉が動くため唾液が出やすくなりますが、近年の食生活では柔らかいものを食べることが多くなっているため、食べ物をよく噛んで食べることが少なくなっている傾向にあります。そのため顎や舌の筋肉が衰えてしまい、唾液の分泌量が少なくなるため、ドライマウスになりやすくなります。
薬の副作用
抗うつ薬や向精神薬、花粉症の治療に使われる抗ヒスタミン薬や鎮痛薬、降圧薬など、薬の服用による副作用が原因でドライマウスを引き起こしてしまう場合があります。高齢者にドライマウスが多く見られるのは、服用している薬が多いため、薬の副作用によるものと考えられています
糖尿病などの疾患
糖尿病や、甲状腺などの病気、体を守る免疫の異常によって起こるシェーグレン症候群などの疾患によって、ドライマウスを引き起こす場合があります。
ドライマウスの対処法
ストレスや緊張を解消する
ストレスや過度の緊張を感じているときは、唾液が出にくくなります。そのためストレスや緊張を解消することで、ドライマウスが改善できる場合があります。ストレスや緊張の原因が分かっている場合、なるべく解消できるように意識することや、休みの日などにゆっくりと休養するなど、精神的にリラックスできる環境を作ることは効果的です。また、ストレスに強い心身をつくるために運動することもお勧めです。ストレッチからでも良いので、体を動かすことを習慣づけるようにしましょう。
よく噛んで食べる
よく噛んで食べることは、口の周りの筋肉を活発に動かすことができるため、唾液の分泌を促すことに繋がります。さらに、食べ物を少量ずつよく噛んで食べることも、唾液腺が刺激され活性化するため、効果的です。
唾液分泌を促すものを食べる
梅干しやレモンなどの食べ物は、唾液の分泌を促します。また普段からガムを噛んだり、飴を舐めたりすることで、口の周りの筋肉が鍛えられるため、唾液の分泌を促すことに繋がります。しかし、重度のドライマウスの方は、場合によっては痛みを伴うことがあるため注意が必要です。
乾燥に注意する
室内がエアコンなどで乾燥していると鼻が乾いてしまい、口呼吸の原因となってしまいます。そのため部屋が乾燥し過ぎないよう、加湿器を使うなどして室内の湿度に気を配るようにしましょう。また、外出する際はペットボトルを持ち歩き、口の渇きを感じた時にはすぐに潤せるようにすることもお勧めです。その際、ジュースなどの糖分の多い飲み物は虫歯などの原因になってしまうこともあるため、お茶やミネラルウォーターなどを選ぶようにしましょう。