インプラント治療は基本的に保険適用外治療(自由診療)となるため、治療費は全額自己負担となります。費用が高額になってしまうことから、インプラント治療に踏み出すことができない方もいらっしゃるのではないでしょうか。この場合に、治療費を分割して払うことで一度にかかる経済的負担を軽減することができます。その選択肢の一つとして「デンタルローン」があります。
デンタルローンとは
デンタルローンとは、各歯科医院が提携している金融機関でローンを組むことで、費用を立て替えてもらい、分割回数に応じた費用を月々支払う方法です。デンタルローンを使用することにより、費用を一括で支払う必要がなくなりますが、分割の回数は歯科医院が提携する金融機関によって異なります。基本的には「2年以内」や「3年以内」といった支払い期限の制限が設けられていることが多いのですが、場合によっては最長10年や120回払いでの支払いが可能なところもあるようです。
デンタルローンは、インプラントなどの高額な歯科治療費に対応できるように利用限度額が高く、一般的なクレジットカードと比べると分割払手数料が低いのが特徴です。ただし、デンタルローンを利用するためには審査が必要になります。審査の申込資格や審査期間は金融機関により異なりますが、原則20歳以上で安定した収入のある方を条件としている場合が多いです。また、主婦や年金受給者の方でも利用は可能ですが、審査の結果によっては連帯保証人が必要になる場合があります。未成年の場合は、デンタルローンに限らずどんなローン会社もご自身の名義では契約することはできませんので、親の名義でローンを組むか、もしくは親の承諾書が必要となります。
もしもデンタルローンの審査に通らなかった場合でも、ご自身のクレジットカードでの分割払いが可能です。クレジットカードが利用できる医院は多いのですが、デンタルローンの場合、取り扱っていない歯科医院もあるので事前に確認するようにしましょう。 なお、当院ではデンタルローンを取り扱っておりますので、デンタルローンの利用をお考えの方は、事前にご相談ください。
医療費控除とは
医療費控除とは、1月1日~12月31日までの1年間に支払った医療費の金額が10万円を超えた場合に、申請することで支払った費用の一部が還付され、さらに翌年度の住民税の減額対象となる制度のことです。医療費控除の対象となる費用には、ご自身が支払った医療費の他にも、生計を共にしている家族の医療費も含まれます。また、単身赴任や進学などで別々に暮らしていても、生活費や学費などを日常的に送金している場合は、生計を共にしていると扱われるので、医療費を合算して申請することができます。その他の控除の対象として、通院のために電車やバスなどの交通機関を利用した際に支払った交通費や、痛み止めなどの医院から処方された薬代も含まれます。ただし、マイカーで通院をした際にかかったガソリン代や駐車場代、健康促進のためのサプリメントなどの費用は、控除の対象外となりますので注意しましょう。
デンタルローンやクレジットカードを利用した分割払いを選択している場合も、医療費控除の対象となりますが、その年に支払った金額のみが控除の対象となり、分割での支払いが年をまたぐ場合は翌年に再度申請をすることが必要となります。この場合、分割払手数料などは控除の対象外です。還付される金額は所得額によって異なりますが、医療費控除の申請によって国からの補助を受けることができるため、経済的負担を軽減することができます。
インプラント治療は、失ってしまった歯の機能や見た目を回復させることを目的としておこなうことから、医療費控除の対象となりますが、見た目を美しくしたいといった審美的目的でおこなうインプラント治療は、控除の対象外となりますので注意しましょう。 ・医療費控除の計算方法 医療費控除額は以下の計算式で算出ができます。医療費と所得額によって決まり、控除額の上限は200万円です。また、医療費控除は過去5年前まで遡って申請することができるため、医療費控除を申請していなかった場合は過去5年間の医療費を確認して、控除の対象となっていれば申請することをお勧めいたします。
医療費控除額=(1年間でかかった医療費の総額−保険などで補填される金額)−(10万円または年収200万円未満の場合は所得額の5%)
まとめ
費用が高額になるインプラント治療において、デンタルローンは経済的負担を軽減することができます。ただしローンを組むことによって、結果的に治療の合計金額が高くなってしまう場合がありますので、必ず事前に費用面について歯科医師と相談することをお勧めいたします。